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あじわう

考えるな感じろ、信じろ 水晶宮殿(クリスタルパレス)感想

百聞は一見に如かず。しかしながら一見だけでは中々分からない。でも楽しいのは“分かる”。そんな感覚は考察が流行りまくる今の時代に染み渡る。言うなればDon't Think, Just Feelを体現する齋藤吉正ショー。実に爽快!

ベテランの域に達する彼の新作は今回も例に漏れず、噛み続けることでいつの間にか何味か判明してくる気がする正体不明のガムのような作品だった。と言っても、その味わいは劇場に複数回訪れることでやっと輪郭が見えてきたわけだが。そんな私の味わった風味と感想についてつらつらと書いていく。

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緞帳だけでざわつかせる流石のセンス。水晶宮殿が水面に映るようにクリスタルパレスと表示されているポスターデザインからして、”映し出された姿”を描きたい・・・のかもしれない。

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まず、デビルフリーザってどちら様ですか。とても明瞭な歌声で自己紹介してくださるのはありがたいですがやっぱりちょっとわからない。ムゲンスパイダー(明日海りお@『TAKARAZUKA∞夢幻』)の親戚なのかと目を凝らしたのは私だけではあるまい。髭が取れてすっかり美しいお顔が押し出された風間柚乃をオペラグラスで見ていたら後ろに映像も流れていて、鏡のような動きをしていた。氷、鏡、映し出されるものはーーーーーーーーーーーーー。

とりあえず(好みが伺える)精鋭からなる彼の軍団が去ったらプリンセスとイケメンナイトたち、そしてせりあがるプリンスが現れる。芝居の時とはうって変わって涼しげなアイスブルーの世界。プリンセスの髪の色がクリームソーダ~さくらんぼを添えて~みたいなカラーリングでめちゃくちゃおいしそう(お腹すくね)。ゆめかわすぎてもうここで芝居とのギャップで風邪をひく。氷だけに。退団者の瑠皇りあ&羽音みかがとても良い位置にいる時点で先生の愛を感じる。ただしまだこれは序章に過ぎなかった。

プロローグが終わったら多分ラスボスと思われる大プリンセス(と私が言いたいだけ)組長様梨花ますみが現れる。おそらく最強なんでしょうが、ここで敵を倒したらショーが終わっちゃうので最後まで引っ張っている模様。さあ冒険が始まるんだな? と思ったらいきなり始まるUberEATS・PARU。

ん?

♪噂のふたりのどうする? どうしよう! って~~かわいすぎて、滅! 嘘、もっとやって! やっぱり私は白ぱる(だからそんな名称はない)が好きですよ、あなた。(もう黙って)PARUというワッペンを見て、今私が絶賛ハマっている某アイドル※を思い出してニマニマ。(※デビュー記念日やグループ名を衣装のワッペンにしている方々にも金と時間を差し出し始めており、ピンときた同志の方はぜひご一報を)戻ると、私、乃々れいあのつるつるな頬がとても好き。

♪あなたに恋をしてみました 久々に聞いたな?! ゆめかわプリンセスがトンチキ衣装着て歌うの面白すぎる。着こなせるのは天紫珠李のプロポーション頼みだぞ。この場面のカオス感に既視感ある・・・(参考『Misty Station』『アプローズ・タカラヅカ』)とよくよく見ていたら、彩海せらが霧矢大夢の衣装を着ているね。これね。しかも満面の笑みの彩海せらの着画舞台写真が出ていたことに気づいたのでお迎えしたい。かっこいい羽音みかのオールブラックスタイルは懐かしのKILLER-K(瀬奈じゅん)の相手役な舞城のどか氏のALLBLACK×ショートカット、うーん性癖。加えて気づいたら目に飛び込んできた美海そらに尻尾がついていてもうこれは(ryとなった。ていうかPARU×JURIはかけがえのない同期であるわけで、この二人がひと場面持つってことに泣けてくる。ちなみに今年のおとめで天紫珠李のハマっていることは「礼華はるの車に乗ること」で、礼華はるのハマっていることは「ドライブ」ですからね。うひゃひゃ(落ち着け) 仲良し同志な二人が劇場全体を魅了している姿に胸がいっぱい。でもやっぱりなんで恋のデリバリーもといUberEATSなのかは結局わからなかった。

このショーでは鳳月杏も色んな方と組むのが楽しい。♪Early Bird が終わると♪愛の夢 が始まる。斎藤先生って愛の夢とても好きだよね。私も。『TAKARAZUKA∞夢幻』でこの曲を歌う望海風斗と芽吹幸奈の声が今でも脳内再生されるが、ここではちょっとPOPなアレンジに。花妃舞音と鳳月杏がランデブーするのはかつての愛希れいかと霧矢大夢を彷彿とさせるわけだが、学年差や持ち味を考えると下手したら犯罪臭がしそうなのにひたすらクリーンなのがちなつさんの素敵なところ。やっぱり鳳月杏の男役って私の理想とする男役のエッセンスが詰まっている。色気があるのに安心して委ねられる、穏やかさ、包容力、チャーミングさ。つまりとてもフェアリー。

さて始まるぞ、怒涛の水樹奈々メドレーだ。 恐竜コンセプトなのかと初見時には全く気付かなかったが、彩海せら/七城雅/雅耀の次世代スターのキラキラがまぶしくきらめく。第一声、♪ETERNAL BLAZEを歌い始める彩海せらに観客はわけもわからずぐっと心を掴まれるってわけ。本当になんでもうまくてそれしか出てこないほどに魅せられる。天紫珠李/佳城葵/瑠皇りあという並びに更にぐっときた後、天紫珠李×風間柚乃の場面である。えなにこれ、めちゃくちゃときめく。研3まで男役をしていた天紫珠李と風間柚乃から「新公を一緒に創り上げた幼馴染感」が突如放出され、個人的大注目場面である。というかデビルフリーザさまってずっとCOOLな面差しなのに、なんでここで突然ニヤッてするの。きゅんです。プリンセスもプリンセスで嫌がるのに割ときゃはきゃはしていてかわいいの。どっちやねん。

そして♪純潔パラドックスを歌うトップスター降臨。♪魂のルフランを歌った霧矢大夢再来かと思ったけれど、"齋藤先生の趣味が全開"とまさかのご本人の感想を読める世の中になっている令和。凄いことです。お腹いっぱい、ここで中詰は終わりかな・・・と思ったら、おっとおっと♪DISCOTHEQUEが始まった。血濡れの呂布が2時間後にはこんなカワイイ世界にいるなんて、宝塚isワンダーランド! 初見時、耳馴染みが非常に良くて聞き入ってしまっていたのだが、流石の一乃凛選手が歌いこなしていて大・納・得。ここは彼女ですね。続くデュエットは♪Crystal Letterは桃歌雪選手。ママ(※芝居を引きずる)の優しい歌声に包まれて踊る二人に色んな感情が溢れる。この桃歌&一乃をニコイチ的にこの後も配置してくださるところが先生わかってる~~!となった一例。しかし月組娘役の布陣は歌姫揃いで凄いことに。でっかいのやらないと勿体ないよね(オブラートに包む)。

デュエットが終わると男役場面として礼華はる筆頭にオラオラする♪Angel Blossom。礼華はるって男役を引き連れがちなんだが、私としてはそろそろ娘役に囲まれる姿を見たいとなっている。とここまで書いて、私は一体彼女に何を夢見ているんだろうかと端と気づく。おそらくすごく期待しているんだと思う!

マッチ売りの少女場面もといデビルフリーザの過去的な場面と理解した風間柚乃&白河りりは次回別箱が楽しみな並び。彼が突然ピュア感満載で踊るからびっくりしちゃった。でも風間さんのピュアな感じって素敵だよね。悲しみにくれたデビルフリーザが次出てくるときに火の星の野獣になっているのもびっくりよ。

火の星。ここでも明日海りおがバッファローしている姿が思い出されちゃったよ。(参照『Misty Station』)と思ったら姐さんが"踊り出しそうになった曲がありましたけど"とこれまた感想を書かれていてにこにこ(詳しくは蒼乃夕妃様instagramをご覧ください)。天紫珠李のキハ@『太王四神記』を観た気になれる衣装はめちゃくちゃ似合っていて、これまた美味しい。プルキル@『太王四神記』みたいな彩海せらの歌唱がまた素晴らしくてだな。こういう場面ってだいたい別の歌手が歌うのに王が自ら歌っていることにまず感動。しかし、JURI×AMIも観られるなんて。ここであみ王に召喚された風間さんが勝ったはずなのに、あっさり組長大プリンセス(再来)に倒されているの何。でも妙に納得感がある。ちなみに私は6つのクリスタルの行く末とかは全く気にせず楽しんでいるクチなので、ストーリーとしてはきっと平和になったのだろうぐらいの理解度である。有識者、よかったら解説よろしくお願いします…。

さて、一生懸命頭を納得させていたところに♪コングラッチュレーション!! となるの安直すぎて面白い。退団者おめでとう場面、黄色の衣装がまぶしいよ二人とも。心からおめでとう、かけがえのない103期。

余談をはさむと、原曲であるミッチーこと及川光博氏はあえてキャパの大きい会場でコンサートをして、来たいファンが全員来れるようにしているとこのこと。その意図を汲んだファンは空席を作らないように頑張って埋めるというとてつもない関係性を作り上げていると先日家族から教えてもらった。さすがである。色んなファンダムがあるのだからこそ、自分で色々見て、罪を犯すことなく倫理観を持ちつつ、財布の限度をちゃんと把握しながら(ここ大事)、時に失敗もして、何事も経験すればいいと思う。気持ちと行動と時間が何より大事だと感じる一ファンより。

閑話休題。齋藤ショーはフィナーレがオーソドックスに立ち返るところがとても好き。今回も月にちなんだ楽曲で続く音楽で素敵だった。ベリーニの♪Vaga luna, che inargenti(優雅な月)~ショパンの♪ノクターン(夜想曲第2番変ホ長調Op.9-2)~Superflyの♪輝く月のようにをデュエットダンスで踊り締めくくられる。黒燕尾の団体芸に酔いしれ、トップ娘役が娘役を引き連れ、男役に囲まれ、最後はピンクが目にも心にも鮮やかに刻まれる二人だけの舞で終わる。無駄のない流れに感動し、退団が発表された二人を見つめればいつの間にか頬に涙が伝っていた。「人と人のあわいに幸せが宿る」を体現するのが、宝塚歌劇のデュエットダンスである。

今作は1回だけだとちょっとよくわからん! だけれども、水樹奈々メドレーだけでいろんな意味で終わらせないところが癖になる。堪能し尽くすには何度も観ることが前提かもしれないが、終わりがオーソドックスなので一度観ただけだとしてももしかしたら宝塚っぽいと錯覚できる可能性もある。とんでもないな。

ポスターの話に戻ると、氷に浮かび上がる姿は舞台の上で輝くタカラジェンヌということなのか、などと二階席から見下ろして思った。有限の舞台の上のタカラジェンヌはひとえに美しく儚いからだ。氷が溶けるように限られた時間、限られた世界。私はいつまでもここを信じていたい人間なんだなと改めて思わされた。

温度差で風邪ひく二本立ては鳳月天紫体制の月組の充実度が存分にうかがえた。どうしたって寂寞の思いに駆られるけれど、それならば、二度と帰らない時間の煌めきをずっと心に留めたいと思う。

何に勝ちたい人生か RYOFU感想

ひと言で言うと、世の中まだまだ捨てたもんじゃないな、という底力のような、ある種の前向きさを与えてくれる作品だと感じた。たとえバッタバタと人が死にゆく舞台だったとしても。

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宝塚歌劇の配信はコロナ禍以降すっかり定着し、遠方組や頻繁に観に行けない人、プレミアチケットに手が出ない人にとって非常にありがたいサービスである。

私も例に漏れず、しばしば、否、頻繁に活用している。だがしかし、配信で作品に没頭できることは正直あまり多くはない。生活音があるし、リビングでみざるを得ないことが多いのも一因だ。それでも楽しんでいる。

今作品も大劇場千秋楽の配信が私にとって最初の観劇になった。中国物、また三国志に疎い私。観劇した友人含め傑作だとの感想をあちこちで聞いたけれど、人が沢山死にゆく難解そうな作品に果たしてついていけるか? とドキドキしながら見始めた。

結果は杞憂に終わった。場面展開ごとに心の中で「面白いなぁ」と唸りながら最後まで見終えていた。劇場にいたわけではないし、情報量の多さも確かにあった。それなのに没頭できてしまった。なぜだろう。その理由はざっくり以下四要素に集約されると思った。ここからは作品の感想をつらつらと。

 

創作という人間の想像/創造の力

業の深さを体現する男役の力

難解な言葉であっても没頭させる組織の力

何にも勝る無垢の力

 

栗田先生が史実をもとに、数多ある創作物を意識しつつ、己の創作をしきったところが物語として爪痕を残していて、非常に良かった。

想像し、創造する。きっとどちらが欠けても成り立たないだろう。とてつもなく難しい仕事だと感じる。しかも1時間半の限られた時間で、こんなにドラマを詰め込めるものなのかと、密度の濃さと緩急の付け所に舌を巻いた。なんか、勉強させてもらいました……という感想が出てしまう。

例えば、呂布が冒頭から雪蓮と別れるまでは殺戮の場面がかなり続くのだけれど、そこからクライマックスまでは一旦刃は出てこず、董卓陣営の動きにシフトしていることで殺戮演出は小休止する流れとか、盆が効果的かつ意図的に回るので、観たい呂布の表情がちゃんと追えるタカラヅカナイズされた親切設計になっているところとか、計算されているんだろうなぁ! と、演出なぞ全く勉強したことない私であっても、その妙の数々に唸った。

史実に伝わる呂布とはまた一線を画した本作の呂布。肉割きの生まれという彼の背負う業の深さは、豊かな経験と感性とを備える、男役として、またトップスターとしての鳳月杏の実力に結実した、なんとも魅力的な主役だった。

周りの組子の存在も大きい。

董卓の風間柚乃はあんなに綺麗な顔立ちから想像もつかないほど、厭らしさが醸し出されていた。しかも、それが場面展開(時間の経過)と共に色濃くなる様を、髭面だけでなく全身で見せつける。李儒が変わってしまった……というのが"見える"のだ。何あの倦怠感と鬱蒼とした空気。もはや怖くてオペラグラスが上げられないという役として大正解を叩き出す役者だった。

李粛は董卓命の武闘派で、大柄な礼華はるにあてたくなるのはとてもわかる。だが、私は根が優しい/良い人役な礼華はる(白ぱる)(というのかは知らないが)が好きみたいでイマイチ刺さらなかった。せぇきとば!!! と叫ぶ声は良かったが。俄然李儒の方が美味しい役であると思ったし、彩海せらがこれまた上手いのだ。感情移入するに決まってる。頭脳派やらせたら天下一品だなと思ったけれど、この人チンピラもうますぎるんだった(参照『ブエノスアイレスの風』『BLUFF』)。

副組長の二人が要所を引き締めていてかっこよすぎる。七城雅の演技が好き。キョン(『雨にじむ渤海』)が忘れられない。雅耀は声でも目立つ。華。瑠皇りあ、やっぱり惜しい。赤兎馬の羽音みかは最後に当たり役を手繰り寄せてて最高。などなど、止まらない。貂蝉の花妃舞音かわいい。一旦止まろうか。

そもそも中国の物語は言葉が難解でセリフのストレスを感じることもしばしばあるが、今作ではまったくストレスにならなかった。これだから月組の芝居が好きなのだ。たとえ死にゆく役柄でも、その死に際の動作一つで、忠誠や悔恨が見えた。組織としての素晴らしい力により、一観客は没頭することができた。月組の仕事ぶりに惚れる。

物語に戻る。呂布という人に非ずの人間がどうしても勝てないのは、世の汚れに勝る無垢な心を持つ、切るには惜しい女だった。この、創作箇所にこそ願いが込められているようで心が震えた。

何のための力か。心を凍らせ、また溶かせるものは何か。呂布のアキレス腱と勝手に呼んでいるけれど、どんなに強い人間にも弱みがあり、それに勝って生きる意味は果たしてあるのか? という話にも見えた。権力は人を傷つけるものであってはならないと今の世の中、声を大きくして言いたいところである。

呂布は後半すでに悟っていた。董卓も己もあまりに血を流しすぎた、と。このセリフ一つで、雪蓮を失った後の彼が、董卓の元でどんな思いで過ごしていたのだろうと思いを馳せずにはいられない。獣が人の心を取り戻してしまったのだから。

終始目が離せない主人公に相対するヒロイン雪蓮。配役発表で貂蝉がヒロイン……ではない? とざわざわしていたところに、ちゃんとシナリオを隠していたのも今作の大きな魅力だが、オリジナルヒロインというのは非常に難しい役どころ。しかし、前述の無垢の心で呂布の心を溶かし、身投げを選択する人としての矜持と愚かさ、ならびに身代わりを選択する意志の強さと清らかさをも併せ持つ。総じて美しく逞しくも儚い女で、元男役の天紫珠李の魅力が余すことなく発揮されたと思う。シャロン(『琥珀色の雨にぬれて』)同様、この人は底しれぬ人間が似合う。オリジナル作品のうまみたっぷり。コンビファンなので、この作品に限らず場面にない場面の想像が掻き立てられていて本当に楽しい(満面の笑み)。

ちなみに呂布と雪蓮だけではない。今作では董卓に向けられた李粛&李儒の感情もまた熱いもので、そんなにぱる&あみを推したいか、相分かった!!! と拳突き上げたくなりつつ、人間の愛憎劇の面白さを見せつけられたし、余すことなく描きだされていたと感動した。改めて愛とは美しく、そしてなんと愚かなのであろう。

しかしながら、何千年も続く人間の営みの中で、人を人たらしめるものが育まれ続け、しあわせに導くことを祈らずには居られない。

呂布の刃に勝るものは何か。創作に込められたメッセージを、受け止めながら生きていきたい。奮い立つ気持ちにさせてくれる作品をありがとうございました。

偉大なるギャップと可能性 〜御園座公演『花より男子Ⅱ』花沢類の感想

先日、『花より男子Ⅱ』を御園座で観劇した。たった一回、されど一回。濃い舞台の後、私の頭の中を占領してしまった存在について書かないとやってられなくなり久々にここを開いてみた。半端な下書きが沢山残っていて、すっかり忘れていた自分に笑ったが最近はもっぱら紙に書いていたため、もはや時系列なぞ無視してあちこち書ききることを2026年下半期の目標としたい。

閑話休題。

この舞台で息づく天飛華音による花沢類がどんな人間で、今作に男女という性差を越えて語れる愛があることを教えてくれたかという話を書こうと思う。この先は数多のキャラクターのキュンポイントを割愛し、ただ一人のことだけ書き残すことをご容赦ください。

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皆さんご存知の大人気漫画、『花より男子』。花沢類はその中でも人気なキャラクター。天然で不思議系な白王子。主人公・牧野つくしの初恋の相手で、彼自身もつくしにだけ向ける気持ちがある。「まーきのっ」という台詞はあるお兄さんのおかげもあって世代を越えて知れ渡っている(はず)。

真面目なタカラジェンヌのことだから皆さん原作や国内外ドラマもおそらく勉強されたのだろうと思う。が、私が不勉強なため比較はできない。このタイミングで原作を読破したい欲がメラメラである。※『キッズ・ウォー』で育ったがゆえに井上真央には並々ならぬ思いがあり、ドラマは見ていた。

フルネームで呼びたくなる名前No.1と思しき花沢類その人の台詞一つひとつを抜き出しその度毎にきゃーーーと叫ぶことは、容易だ。なんなら思い出してはトキメキが心の容量をオーバーし続けている。ありがとう、良い薬です。

けれども、彼の言動や振る舞いを今流行りの便利な"メロい"のひと言で片付けるにはあまりに切なすぎた。

舞台上の誰よりも儚さを感じさせた花沢類。それを元気印で陽の持ち味が魅力的な天飛華音が創造してしまうと誰が想像できたか。嗚呼嬉しい誤算。無論、役者としての彼女に信頼を寄せてはいたけれど、観劇前の想像とのギャップは衝撃的で、私は無事陥落した。

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今作(Ⅱ)は道明寺司と牧野つくしの遠距離恋愛状態から始まる。様々な試練にぶち当たり、終始もだもだするフェーズ。つまり、二人の間にある愛が試され、再確認される話なのである。

そのため、花沢類はのっけから二人を見守るスタンスなのだが、あまりにつくしがつくしであり、司も司すぎるがゆえに様々な浮き沈みが生じるの中で、つくしのピンチにそっと寄り添う存在として佇む。しかし、つくしは結局司のことで頭がいっぱいなのに類はつくししか眼中にないので、2時間半のストーリーの中で類は失恋しつづけ、その姿に客席では心が引き裂かれ続ける。そんな殺生な。 

しかし、舞台は悲しんでいられないほど盛り沢山で、司とつくしの不器用でひたむきな愛が入り込むので勿論ほかほかするし、何より山あり谷あり(さすが少女漫画!)で、感情も展開もジェットコースター。振り落とされている人もおそらく相当いるだろう。そのため、正直物語としての余韻はないに等しい。原作ありきであまり脚本としては頂けなかったかなという私と演出家とのこれまでの相性を考えると予想通りな気持ち。

そんな中、花沢類的クライマックス(転)は、司との喧嘩の場面だろう。それまでの保護者的見守りスタンスから徐々につくしへの感情を募らせ、爆発させていく。「牧野が好きかも」とのたまう場面は、かもって何だよ!!!と総突っ込み。だがしかし明らかに惑いが表れたその言葉は、おそらく彼自身も気持ちを持て余しているような余白が見受けられる。(※追記 その後、好きだと言い切り喧嘩に突入するものの、その顔が見れればいいと告げて終わる。この感情のジェットコースター、誰か助けて)

彼の中で抑圧されてきた感情の存在。見せないだけでずっと存在した彼の心をはじめて意識させられた瞬間、そこに至るまでの彼の行動を思い返し、改めてこのキャラクターの深みにハマったわけである。

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つくしはつくしで花沢類のことは好き、と劇中でも教えてくれる。色々あったけど、なんでも話せる仲だと。しかし類は類でつくしとは別の感情でつくしのことが好きに再び作中で辿り着く。

そもそも類はつくしが嫌がることはしない。だってつくしが大切だから、そして司も大事だから。二人が幸せになるならそれでよい。だって僕は人に興味はない、とご丁寧に冒頭に歌って教えてくれる。けれど彼はつくしが頼ってくるなら迷わず助けるし、困っていたら手を差し伸べる。

それらの自然な振る舞いを舞台で目の当たりにした時、なんて美しいのだろうと惚れ惚れしてしまったのである。

相手への敬意と思いやりがあり、二人のあわいに揺るがない「信頼」が存在することは自明だ。この信頼は、温泉宿の場面で顕著だった。二人で並んで布団に入る。手をつないでと言われたら手を繋ぐ。落ち込んでいる相手を元気づけようと話をする。

己は恋愛感情を抱きながらもすれ違う相手に、不快な気持ちにさせることなく寄り添えるというのは、それだけ相手のことを見て、理解し、思っているから出来ることだ。

思い返すと舞台でも本当によく"見ていた"。目は口ほどに物を言うとはこのことかと感じたし、平時の天飛華音の強力な目力を役者の表現に落とし込むとこうなるのかと味わい深い。が、しかし、彼はつくしが司に辿り着くと、ふいと、まるで蝶が舞うかのように静かに舞台袖に消えていく。こんな振る舞いは他に類を見ないと改めて感じたのだ。類だけに。(ん?)

例えば手を繋ぐシーンは、幼子が眠れない時に周りの大人にせがむ姿のようだし、そもそも違和感なく布団に一緒に入る時点で安心しきっている様子が見て取れる。類はつくしの感情自体も分かりながら、それでも隣ではなく、傍にいることを選ぶ。彼の中でつくしへの恋愛感情もあるのに、決してそれだけでもないことを振る舞い一つひとつで見せつけられた気がした。(なお、つくしの心を越えてキスしてしまう場面さえ欲望にも何にも勝った慈しみの愛に見えるのがこの花沢類である)

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彼の中で、とりわけつくしへの感情は重いだろうと推察する。しかしそれを飄々と一人抱えて、悲愴感はまるでない。そのアンバランスさに心惹かれるわけなのだが、アンニュイな佇まいゆえか、フェミニンなのによく透る声音ゆえか、ジェントルなつくしへの振る舞いゆえか。すべてが理由になるキャラクターだがしかし、表層的な要素ではないところに私が受けた衝撃の謎があるのだ。そう、彼の核となる心だ。

というのも、友愛や慈愛が身体の中を渦巻き、それらが服を着ているような花沢類。見つめていると、雪原に咲く一輪の待雪草のような透明感がある。言うなれば親が子を、先輩が後輩を慈しむ気持ち、もしくは恋愛感情かもしれないのにすべては友愛に覆われてしまう感情を抱いてそっと佇む秘めやかささえある。親友のことが恋愛感情で好きなのに、相手は友人としか見てくれないという諦念にも似たあれである。

と、ここまで考えたときに、「男と女に友情は成り立つのか」そして「恋愛/友情の違いとは何か」といったような問いが浮かんでくる。つくしと類の関係が、男女という性差を越えて成立しうるなどと令和になってハッとするなんて思わなかった。異性愛でおなじみの三角関係から拡張し、もっとシンプルで根源的な愛の関係性なのかもしれないと考えた時、ふと頭を過ったのがウテナ(『少女革命ウテナ』)なのだが、我々ファンが抱くタカラジェンヌの成長を見守るないしキラメキにときめく気持ちなどともゆるやかに接続しうる感情でもあり、ここでもドキッとする。しかしながら花沢類はつくしのことを恋愛対象として見ている。

いったい、この背徳感と清らかさは何ゆえ両立するのか、という新たな疑問が生まれる。いったん私の解釈としては、Ⅱという紆余曲折を経たフェーズだからこそ確固たるものとなった、信頼ゆえだと考えている。加えて、彼の根底のピュアさも相まって、爽やかでありながら色気まで生まれてしまった。

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そう。天飛華音の花沢類は、ピュアだったのだ。未熟という意味ではなく、真摯で誠実という意味で。加えて男として、または女のように、などといった次元を越えた「花沢類」というジャンルだった。その儚くミステリアスな存在は、ニュートラルな白を纏う。この作品における白は、人の様々な事情に重ねられる優しさの色であり、透明感の正体とは、まさに純粋な心だったのだろう。果たして、私は花沢類の"天然"の所以をようやく理解したのだった。ちなみにこの理解には、天飛華音の職人芸が助けてくれたと思っていて、元々ご本人の持ち味やイメージとのギャップがあるお役だからこそ、一つひとつ丁寧に役を咀嚼し積み上げて創られていること、その過程でちゃんと彼の心に向き合い、落とし込まれた表現を今なお咀嚼し味わっている。天才!

この道明寺とは異なる純真さこそ、実は花沢類という不動のキャラクターの真髄なのかもしれない。そして私が宝塚歌劇に求める「女性が演じるからこそ加害性が排除された理想の男」役のひとつの解がここで爆誕した可能性がある。だからこんなに荒ぶってしまったのか、なんてことを思いながら、舞台上の彼に出会ってからというもの、頭が彼でいっぱいだ。千秋楽の幕が降りても心でずっと愛でていきたいと思う。盛大なトキメキと輝きにありがとうの気持ちを抱きながら、元気に生きていこうじゃないか。待ちに待った配信が楽しみだ。(6月28日15時半公演)

私は、彼(女)の、一見欲まみれにも受け取れる以下が決して不快なからかいにならず、ひたすら真っすぐなところが好きだ。

じゃあ俺にもして?

さて何をしてほしいのかは、ぜひ劇中にてご確認ください。

(追)<ライブ中継・ライブ配信>星組 御園座公演『花より男子II』 | ニュース | 宝塚歌劇公式ホームページ

何より、くれぐれもご安全に。(地震や台風、どうか被害が拡がりませんよう。平和あっての日々の生活を切に祈る)

輝く一番星たちを祝おう 〜恋する天動説/DYNAMIC NOVA感想

メカニックも宝塚も、学歴や生まれなんか関係なしに好きなことで集まって育まれる愛の組織であってくれ

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今更ながら暁さん、詩さん、大劇場公演でのお披露目おめでとうございました。すっかり終わってしまったところで振り返る。※ここには6月にあげているが4月末に書いています

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いつ見たってお披露目っていいなぁ。何事も区切りって大事だし、ワクワクしちゃう。船出、旅の始まりとはいつだってサヨナラに向かっているわけだけれれど、その切なさ込みで好きだ。

 

大野先生の演出は信頼していて、安心安全かつコミカルで(特にロッカーズのバイクは)エキサイティングな公演だった。大野先生の星組のコメディとなると『ヘイズ・コード』を思い出した。懐かしいね。

今公演の前に上演された全国ツアーは映像で拝見したのみなので、トップコンビとして劇場で出会うのは今公演がお初。

感想は、このコンビは痴話喧嘩が似合う、だ。この二人が紡ぐかわいらしさは『ダンサ・セレナータ』でも証明されてたとはいえ、周りの演技(主に碧海さりお&瑠璃花夏)に支えられていたとも思う。そういうところもチーム感があって良いんだよ。

そう、テーマはチームだった。(これからはますます)チーム意識が大切である、というメッセージがこの芝居の主題なのかもしれないと思っていたく感動したというのがこのあとに続きます。

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そもそも大野先生は娘役の扱いや描き方が天下一品なことも忘れてはいけない。イロモノ、ソエモノ、ノケモノにしない。結局これは世の中へのメッセージでもある。同じ観点で『柳生十兵衛』も忘れられない。

役の話に移ろう。一目ぼれしちゃうくらい素敵なのにいじらしくてかわいげもあるアレックス。ちょっと『アルカディア』風味があったよね? そして遅すぎるモラトリアム感。

どんな役でも掴みどころがないところが魅力な暁千星の男役像に当てがいた大野先生だが、アレックスな暁千星を観ていて、そうか龍真咲の背中を見て育ったのだったよなと私の中で彼女の男役像の理解がとてもとても進んだ。ことに真ん中芝居に彼(彼女)がいるなんてね。(早々にご観劇な師弟愛もうれしい〜! エキセントリックな龍真咲、思い返してもおもしろい男役だった)

新風・瑠風輝の安定感たるや。いてくださってほんとありがと! と握手したくなったところに客席降りで小さくて美しいお顔に見つめられながらハイタッチさせていただけて、もう言うことないです。1月、私の初詣記録。なにせ礼真琴が抜けた後だから大事なことです。2番手はトップと対峙するからどうしてもダンスバトルばかりさせられていて、それはなんだかかわいそうだけれどさすが学年の功。そして同期の安心感たるや。色んな意味でよろしくな兄さんって感じの頼もしさ。名前の通り大変輝いていた! ショーの紫のスーツでの歌い上げ、痺れましたぜ。

天飛華音は自分の目で観ても「声がでかい」という感想に終わった。かわいかったですが! 声がでかい! 褒めてる。加えて東京は部分とはいえ休演で、ごっつ心配。私が好きになる人は休演経験しがち。そんなジンクスやめてくれ。あ、私ピンクシャツ着る人が好きだって新卒入社時から言ってるんだけど大野先生なんで知ってるの?(知らないよ)

暁アレックスにモッズコート掴まれてジタバタしている天飛稀惺は完全に兄弟犬二匹散歩してる飼い主。ちなみに弟のほうがしっかりしている。そしてアドリブ対応力は2人とも相当あるとみた。懐深い番犬たち、否、スターズです。あと、男役だと朝水りょう(先輩)がものすごく今回もカッコよくてね。その包容力にもう全てを委ねたい。

詩ちづるはプリチー!なヒロインだった。芯があって表情豊かで、オペラ泥棒だね。でもさ最後のベール、なんだか頭盛りすぎではないかい? この先身長差気にして高いヒール無理して履かなくてよいからね。小さくたってかわいくて衣装もライトも頑張るから大丈夫だよ(誰)

しかしこの人たち学園物させたくなるフレッシュさだな〜と思ったら次の御園座公演、学園モノだった。野口先生の手腕にいつだってドキドキ。しっかし再演作品ばかり続くので今回のオリジナルの貴重さよ! しかもRRRは一本物………。以下略。

星組娘役、よりどりみどりでどこ見たら良いやら。綾音美蘭かっこよかったなー! こういう路線でどんどん突き進んでほしい。瑠璃花夏は開演アナウンスから絶品。メイクも芝居もつやつやキレキレ! 立ち姿の美しさ。大好き。藍羽ひよりは途中さらっと休演してた時があったけど無事戻って変わらずキラキラしててホッ。いるだけでキラキラできちゃう方なのでつい目で追ってしまう。そして乙華菜乃は令和版すごつよとでも言うべきか、非常に目立っていた。し、期待に応える頼もしさ。顔もこれまたかわいい上にうるさいのが好き(とても褒めてる)。役柄の意味でも役者としてもある意味最強。これから「私は、仕事がんばろー!」って私の中のキアラが叫ぶ人生になりそうだ。

↑の、最後のオチ含めて全てに改めて大野先生の演出へ全幅の信頼を寄せる。アップデートしてゆく演出家の鑑だ。

 

そしてありがたいことに複数回観劇できたこの芝居は、女性活躍の話でありチームビルディングの話なのかと理解した時に、無事、大切にしたい大好きな作品になったのである(パチパチパチ)。そこまで至るのにだいぶ時間がかかったけれど。

まずこの作品はシンシアが主役なんだなと思って見ると、とても分かりやすくなるのでオススメ。さあ、ブルレイはこちら。

『恋する天動説』『DYNAMIC NOVA』: ブルーレイ・DVD・CD - 宝塚クリエイティブアーツ公式ショッピングサイト|キャトルレーヴオンライン

シンシアはとても揺れ動くし、そんな中、行動し、そして何よりかわいい。もう分からなくなっちゃったと虚無になるところは正直苦しくて身に覚えもあって辛いけれど、でも他人を信頼して、自分が好きなことを貫いて、希望も夢も愛も勝ち得ていく姿が本当に眩しいんだ。

オックスフォード初の女性研究者であることを誇りに思って、違う仕事をしながらそれを支えに生き抜いてきたお祖母様の時代から、「女性の」F1レーサーだ〜〜〜! って世間からも家族からも騒がれなくなるほどには変わってる舞台設定だったことにお気づきか。悲しくもお芝居のなかでは、だけれど。

シンシアは、女なのにとか女だからとか、それが理由になっていない世界を生きていた。1960年代英国のモッズとロッカーズをモチーフにしているとはいえ、ロックだよ先生! 現実はさておいて、こうなって欲しいという未来を大野先生は描いていたと私は見た。

そして、トップコンビが家柄も学歴も関係なく、好きなことでチームになって、周りの人とでっかい愛でつながっていく話。チームビルディングだ!

宝塚である以上恋愛要素は描くことになるけれども、それでも大劇場公演でトップコンビをこの「仕事のパートナー」という嘘も偽りもない、真実の関係性で愛たっぷりに提示してくださる大野先生、やっぱり最高なのですわ。ありうたって華と技術により対等になれるのが魅力。

ちなみに最後のアレックスへの大好き連呼演出、これは愛でつながる演出だけれど、もう一つの効能があると思っている。それは、あんなに華やかなのにネクラ(※当方認識)な一面もあるありちゃんへの盛大なご祝儀というかメンタル補填演出だということ。これまた一つ、大野先生の愛でしょう。なんてったってあの完璧無敵、常にマリカーのスター状態で魅せ続ける礼真琴の後というプレッシャーをありちゃん自身で膨らませている気がしていたので(ファンの身勝手な妄想です)。皆から愛してるあいしてるア・イ・シ・テ・ル⋯…ドリカムはなかったけど、あれだけ言われたらいやでも自己肯定感上がるわな。良かったね、先は長いですから。なんてったって期待のビッグなニュースター暁千星ですよ。劇団も大切にしないと!

しかし叫ぶならマスク付けようぜみんなとは思った。最後までアナウンスがなかった劇場。客席の年齢層や色んな人が観ることも考えてみるとね。

ちなみに車のナンバーはSTAR★ARI&UTA。かわいすぎる! コンビファンのアドレスドメインかと思うほど。宝塚舞台の皆様、毎度細かな拘りをありがとう。

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さてようやくショーの話をする。個人的に稲葉ショーとの相性はイマイチなのだけれど、暁さんに免じて許そう(?)。

お披露目ハッピーに、冒頭からよいしょっと(言ってないけど)組体操的にご登場されたのが結構、いやかなり良かった。やらせたくなる気持ちが分かるから。ひと言で言うと、全編踊りまくりで観ていただけなのにこっちの息が上がってしまうショーだった。ただ稲葉ショーには毎回若手爆踊り場面があるのは素敵だ。しかしロケットが始まった時、あれまだだったっけ?! 大変! と親心になるし、ほんとあちこち踊りまくりな構成。

歌詞にある"始まる!Startin’!"的な初初しさを全開にできるのが今の男役・暁さんの強みだなと理解が進んだ。男役として理想的な等身バランスで遺伝も多分にありそうな広い肩幅も自前なのに、ダンスもキレキレなのに、感想がかわいいなんだよ。頭混乱しちゃう。

加えてトップコンビで並んだ時、プリチーすぎて頭抱える。世の中、平和になろうよ。それぞれのかわいいに触れて、争うのはもうやめよ。戦いはあらたな戦いを生むだけってアイーダがここんとこずっと頭のなかで歌ってる。木村先生お元気ですか。

ちなみに芝居もショーも月組に弱み握られてるの?ってくらい月モチーフが散りばめられてた。どうした。そりゃ天動説とかNOVAとか、トップコンビにちなんで宇宙がテーマになっているし、こちとら月組から泣く泣く召喚させたんだからなと思うくらいの面倒くさいファンだけれど、それにしても視覚的インパクトが星≪月じゃ……と思うくらいには月月していた。

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前半、木星場面はイマイチ意味わからなくてなんかかわいそうだったけど、タンゴの場面の歌手が最高だった瑠風輝。全編の中でタンゴの場面が一番好きだった。なぜって?『Heat On Beat』の枯葉の場面を思い出すからだよ。古からのオタク友達に枯葉⋯て言われて、それだ!!! となったのである。ここの稀惺かずと、お誕生日が同じ貴城けいに見た目もそっくりな美貌での女役。ちなみにここ天飛華音も出てたんだ? ってムラでの観劇時に途中で気付いたのだけれど、東京では部分休演で涙涙である。どうか大事に至らず無理なくご快復されますように。

ちなみに客席降りでは、優しい瑠風輝、もえこお姉さんの優しい微笑みとひんやりしたお手々の感触が今も忘れられません。恋かな。だな。しかしながら叫ばせたりタッチさせたりするならなおさら衛生観念を気をつけさせてほしいです。

すっ飛ばすが、天愛るりあのエトワール、なんかウィンク飛んできてませんか?! エトワール聞いてかっけーってなったのはじめて。元月娘の爪痕残してますわ。大活躍、おめでとう。芝居に続いて爆裂な乙華菜乃、若手爆踊り場面でええ声な掛け声とウィンクぶちかましているのが素敵すぎてもっとやれってなる。大希颯の色気と包容力はなんなんだあれは。それと若手爆踊り場面、暁さん初舞台ロケットの曲でしたね。てなわけで、稲葉先生からも愛がてんこもり。座付き演出家っていいなあ。

中でも神々しかったのは月組カラーでもある柔らかなイエローの衣装でのデュエットダンス。おデコへのチューがかわいすぎて尊すぎて、心が泣いてしまった! 身長差萌えとか私の辞書にはなかったはずなのに、暁さんのやさしいあたたかい男役像から繰り出され、ダンスのストーリーにそって溢れ出す笑顔が花束のような詩ちゃんが受け止めるとなると話は別だった!!! 大変ありがとうございました。

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余談的な何か。

先日暁さんのトップスターロングインタビューを拝見した。その結果、月城政権下で芝居で対峙する月城&暁の姿を猛烈に見たかったという積年の気持ちをこじ開けられてしまった。だってまさかご本人の口から聞けると思わなかったんだもん。暁さんの芝居、月城さんだったらどうやって受け止め、高めていったのだろうと、ぼんやりと今でも夢に見てしまう。でも中の人であるありちゃんが、はじめて心から芝居を楽しめた(意訳)れいこさんとの芝居の思い出や当時の思いを番組でシェアしてくださって、なんというか、星組の暁千星を応援する気持ちはそれはそれはでっかくあるのだけれど、その裏側にずっとくっついて離れなかったけど覆い隠していた月組の暁千星さんをもっと観ていたかったという気持ちは、無理して昇華させなくて良いんだよって、贅沢なことに暁さんの口から言ってもらえた気がした。そんなところまで含めて暁さんがだいすきです。

いつか迎えるグランドフィナーレまで、素敵な作品に巡り合い、心から楽しんで過ごして下さいますように。

トップスターご就任、おめでとうございます。

絶望の淵で生きる力の源を探して〜『花の業平』配信感想

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2025年5月配信にて視聴。

 

『花の業平』

稀代のプレイボーイと、名家の見た目も心も美しく強い姫の悲劇的な恋。恋は人を弱らせるけれど、恋を知り愛を知って、人は強くなる。

 

伊勢物語でおなじみ、出世コースアウトも相俟って叶わぬ恋で涙に濡れる主人公だと言うのに、最後の最後、地獄みたいなこんな世の中だけど俺とお前は互いに生きていこうぜ、というでっかい愛と強烈な生命力、決してお涙頂戴で終わらせないんだ。これが20年前の作品よ。柴田先生って凄い。色褪せない名作。

最後の逢瀬に至るまでの周りの手助けっぷりが、端的に生き生きと描かれているのがよい。それぞれの人間が、何のために生きるのか。己が信じるものを守るため。かくありたい。

 

鳳月杏は『琥珀色の雨にぬれて』と『花の業平』という私が大好きなお芝居を蘇らせてくれる不死鳥なので、「愛しております」という言葉を伝え続けたい。どちらも、人としてどうなの? という主人公像を息づかせてくれる力量にあっぱれなのだ。だって少なくとも私は、感情移入できてしまうから。

白玉の、の歌を露だよと教える業平に、どうか逃避行が上手く行って欲しいと分かっていても願ってしまうほどに、一途な面差し。残された高子の着物にすがり溢れる一筋の涙。憎いなぁ。この憎さを許せるか。そして、呼応する天紫珠李との芝居は本当に心を揺さぶられる。観るたびに、私はこのトップコンビのファンなのだと再認識する。

対して悪役の基経布陣はじわじわとしぶとく描かれる。赤が映える悪役だ。全く、風間柚乃の紅の美しさにやられるしかないではないか。ヴァンパイア物語にさほど惹かれないが、あの紅さに吸い寄せられてしまう。『応天の門』を経た風間基経だからこその艶やかさがあったように思う。紫も似合う、しかし見たことある衣装だった。役の作り方として、憎らしい基経がブレないのがまた良い。中盤の伴の佳城葵の基経ぇ! という台詞が際立つ。

さて梅若。当時絵麻緒ゆうが好きだったもので、この役に見事にどハマりしたのである。宮中と市井をつなぎ、高子と業平をつなげる、理解者でしかも実は貴公子というバランス感覚含めた夢設定にもほどがある魅力的なキャラクタじゃないですか。ぜえぜえ。配役見た瞬間絶対(私が)ハマってしまうとニヤけてたんだけれど、実際観た後にひたすら礼華はるのエゴサしてる自分に気付いた。チョロい。私は好きなタイプ=梅若って書いたほうがいい。世の中ではあんまり伝わらないのが悔しいけれど。礼華はるの大らかさと醸し出される気品はあまりに良かったし、歌も伸びやかになられた(親戚スタンス発動)。

成り替わる業平と梅若の2人が上海(※ショーの一場面)で対峙するのが、見た目のバランスから何から最高だったんだよ。配役からして勝利だったなとしみじみ。

彩海せらは可愛い顔して何やっても上手くて本当に凄い。オフの綺麗なお姉様って感じ(※比較:元気な妹・天飛華音)なのに、チンピラの解像度が高すぎで定評ある彩海せら。御曹司はもちろん、主題歌を聞かせてくれてありがとうと画面の前で拝んだ。何を隠そう、組替えしたばかりの『グレートギャツビー』二幕の歌に私の心臓は持っていかれたのだった。だからデュエダンのカゲソロも(原語だったこと含めて)最高。

梅若とあけびのスピンオフは昔私の頭の中で書いた気がする(?)。彩あけび、生き生きしていて自由自在、アデレイドが楽しみになる。無論彩海せらも。改めて、スターが潤沢で安定感のある月組。すべては鳳月杏の包容力のおかげかな。

 

話を戻すと、プロローグとエピローグが繋がるのが憎い。宴ではじまり宴で終わる宝塚らしい華やかさ。しかし冒頭は業平の歌ではじまり、最後はふたりの言葉で終わる、そういう物語。構成で伝えられる要旨。生きるって辛いけどいいものだよね、となれる力強さ。今の時代に特に必要ではないだろうか。

しかし観てたら無性に『桜嵐記』が観たくなり、大好きな新人公演版を見返した。本公演版はどうしてもサヨナラ公演って身構えてしまうから。やはりきよら羽龍の弁内侍は宝物だ。大宙に羽ばたくことを祈っている!

嗚呼言っても詮無いことなんだけれど、ピガールの新人公演が観たかったね!!!! というわけで礼華はる愛が増し増した今公演、円盤を買いたいねという感想で終わる。力尽きたとも言う。(※追記 買いました)

花の業平/PHOENIX RISING ブルーレイパッケージ

 

咲き誇る薔薇ひとつ 彩風咲奈に寄せて

私が彼女の話をするとなると、いつだって『はじめて愛した』の話に至る。

お顔立ちはまだ愛らしく、(役柄もあったけれど)大きな身体を使ってぎこちない様子で銃を振り回していた。それが、私と舞台に立つ彼女との出会いだったのだと思う。

音楽学校の生徒募集における「あなたが、だれかの夢になる」姿は存じていたし、その頃、新人公演主演も既に果たしていた彼女の舞台姿。正直、いろんな意味で椅子から転げ落ちそうになり、印象に残って今に至る。

あの日から、どれほどの時が流れただろう。

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自分の居場所を守るため ディミトリ感想

2024年9月22日。舞空瞳が宝塚大劇場を去った日に捧ぐ。

などと、かっこいいことを言いたいけれど、ずいぶんあたため過ぎていた配信時のメモを掘り起こしてきただけに過ぎない。しかし、彼女のサヨナラショーを見て感化されたからこそ、今に至る。

クラシカルなサヨナラショーだった。こういったショーは久方ぶりに観たかもしれない。夢見心地な演出に心が洗われるようだった。
彼女は特に”オーソドックスな宝塚歌劇”が好きらしいということを耳にして以来、彼女に求められるものと自分が好きなものとにギャップがあるという、これまた一つ「ありふれた現実」なのかもしれないなと勝手に感じながら、彼女が舞台で戦う姿を私なりに見つめてきた。

トップ娘役であり、何より懸命に”自分なりの”相手役であろうとした彼女の心に、ありがとう、お疲れ様でしたと伝えたい。美しい衣装よりももっと眩しい、涙のこぼれんばかりな瞳に目を奪われた時間だった。
ひとまず、宝塚本拠地でのご卒業おめでとうございます。

 

ここからは当時のメモを掘り起こし作業だ。

 

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